プレスネット記事 検索 共通五官の健康サポートに漢方薬 加齢とともに視覚、聴覚、嗅覚、味覚などの五感を受け取る感覚器の機能が低下し、日常生活に支障を抱えている方も多いと思います。これらの感覚器の機能低下と認知症・フレイルなどの病態との関連性も指摘されています。西洋医学による薬物療法のみでは難渋するケースも少なくありません。漢方医学では、唐の時代に感覚器を治療する五官科(眼科、耳鼻咽喉科、口腔歯科領域)が専門分野として発展していました。 五官(目・耳・鼻・唇。舌)に対応する漢方処方 【滋腎明目湯】 過労や老化による目のかすみ、疲れ、痛みに。 【洗肝明目湯】 炎症による目の充血、痛み、ドライアイによる目の症状に。 【滋腎通耳湯】 加齢とともに衰えてくる聴力の低下、耳鳴り、めまいに。 【麗沢通気湯加辛夷】 鼻の専門薬で嗅覚異常、鼻炎、蓄膿(副鼻腔炎)などに。 【甘露飲】 口腔内の乾燥、歯周病、口腔内炎症に。 【桂枝五物湯】 歯槽膿漏、口臭、歯根の炎症、腫れ、痛みに。 バックナンバー・老化による免疫低下・病後の回復補助・vol.363 むくみが気になる方に呼吸器記事がありません。記事がありません。バックナンバー・・・循環器熱中症対策 今年の夏は暑く、大量の汗をかいて熱中症で倒れた方も多かったようです。まだ暑い日が続きますから注意が必要です。汗は体温調節や皮膚の乾燥防止に必要ですが、夏の汗は体力や体液の消耗につながってしまいます。体がだるい、疲れやすい、疲れがたまって回復しない、胃腸が弱って食欲がない、など漢方医学では汗は気力と体液を両方含んでいると考えるため、過剰な発汗は体力低下や、脱水症状を引き起こすとされます。 〇過剰な発汗を防ぐ代表処方 生脈散(しょうみゃくさん) 人参、麦門冬、五味子の生薬の働きで、大量の発汗後や肉体疲労時の機能低下を改善します。生脈散という名前は体内エネルギーや体に必要な水分の消耗を防ぎ、弱くなった脈を回復するという働きを表しています。滋養強壮作用があり、普段から顔色が悪く、胃腸もじょうぶでなく、疲れやすい方にお勧めです。 バックナンバー・冷えは万病の源・冷え症のはなし・記事がありません。消化器便秘 昔から快食、快眠、快便は健康のバロメーターと言われています。しかしながら、近年、食生活の欧米化、ストレス社会、運動量の減少によって便通異常を訴える方が増加しています。いわゆる刺激性の下剤は効果は強いですが、使い続けることによって腸が刺激に慣れていまい、最終的には効かなくなります。さらに、腸内のガスの排泄が滞り、腹部膨満感という合併症が発現します。すなわち、腸の蠕動(ぜんどう)運動が自発的に起きることが根本的な体質改善につながります。 便秘のタイプ別漢方 近年の便秘は腸の冷えが原因と考えます。腸を温めることによって自発的な蠕動運動が始まります。温める性質の生薬が配合された温脾湯(おんぴとう)で冷えを改善すると腸の緊張が和ぎ、スムーズに排便できます。一方、うさぎの糞のようなコロコロ便はストレスにより腸液の分泌が低下しています。腸を潤す潤腸湯(じゅんちょうとう)が適しています。また、便が細く、途中できれたり、残便感が残る場合は自律神経のバランスが崩れています。自律神経のバランスを整える九味檳榔湯(くみびんろうとう)が適しています。 バックナンバー・記事がありません。・・腎記事がありません。記事がありません。バックナンバー・・・代謝・内分泌夏バテ 残暑の厳しいこの時期は汗をかきやすく、体内の水分やミネラルだけでなく、体力も失いがちです。これを東洋医学では、汗によって気と津液が両方失われていると捉えます。その結果、倦怠感、息切れ、口の渇き、手足のほてりなどの症状や脱水症状を引き起こしてしまいます。汗をかいてぐったりした状態が続くと秋口にだるさ、疲れ、食欲不振などの秋バテ症状につながります。 【漢方処方解説】 気の不足は疲れ、食欲不振、息切れ、動悸など、津液の不足は肌の乾燥、手足のほてり、のぼせ、のどの渇きなどの症状を引き起こします。気を補う人参、津液を補充する麦門冬で構成させた生脈散(しょうみゃくさん)が適しています。食の対策として、気や津液を補うじゃがいも、しいたけ、山芋などを摂取しましょう。また、冷たいものや加工食品の摂りすぎ、不規則な生活などが続くと消化機能が低下して食欲が低下し、夏の間中、倦怠感、胃腸不良、むくみなどの症状がでます。このような場合は胃腸機能を亢進し、水分代謝を改善する香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)が適しています。食の対策として、あずき、ハトムギ、白菜、とうもろこしなど余分な水分の排出を助ける食材を摂取しましょう。 バックナンバー・記事がありません。・・血液記事がありません。記事がありません。バックナンバー・・・神経・脳、脳神経片頭痛・緊張型頭痛と漢方 片頭痛は男女ともに20~50歳代の働き盛りに多く、そのメカニズムは完全には解明されていませんが、ストレス、三叉神経の刺激、痛み物質関連ペプチドの発現、長時間の同じ姿勢による血流の悪化などが考えられています。一般的には鎮痛薬の頓服による治療が行われますが、使い過ぎによる薬物乱用リスクがあります。漢方医学では頭痛の原因の多くは血行不良や水分バランスの乱れによって起こると考えます。原因や症状、体質にあった漢方薬を選択することで頭痛の頻度を減らすことが可能です。 漢方処方 慢性頭痛の診療ガイドラインによると、漢方薬の効能に関して科学的エビデンスが集積されています。具体的には、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、桂枝人参湯(けいしにんじんとう)、釣藤散(ちょうとうさん)、葛根湯、五苓散(ごれいさん)の5処方が有効として挙げられています。一方、難治性の頑固な頭痛には頭部の気血うっ滞、上気、水毒を改善する清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)が用いられます。 バックナンバー・記事がありません。・・膠原病記事がありません。記事がありません。バックナンバー・・・小児記事がありません。記事がありません。バックナンバー・・・外科・周術期記事がありません。記事がありません。バックナンバー・・・整形・運動器冬場に悪化した肩・首の痛み 冬場の冷えの影響もあって、痛みの症状が強くなっている方が増えているのではないでしょうか? 冬場の痛みは冷えにより筋肉のこわばりが増悪するといった特徴があります。その結果、血液の流れが悪くなり、神経からのしびれを生じます。 鎮痛薬や湿布などは一時的に症状を抑えるだけで根本治療になりません。血液の流れを改善し、筋肉の動きを改善することが大切です。 漢方処方 肩こりには葛根湯が効くとよく言われますが、葛根湯には咳止めに効果のある麻黄が含まれており、心臓への負担が増すため、長期投与に向いていません。 一方、独活葛根湯という処方には麻黄の分量が少なく、筋肉の痛みとこわばりを和らげる独活が配合されており長期服用に適しています。 さらに血液循環を改善する地黄の配合により筋肉の動きを和らげる効果もあります。 雨や気圧によって痛みが増す場合は、水分代謝が悪化しているので、桂枝加朮附湯を併用します。お気軽にご相談ください。 バックナンバー・運動器の障害に活用できる漢方・記事がありません。・産婦人科男性不妊の現状と漢方 不妊といえば女性に問題があると思われがちですが、最近では、電磁波、ストレス、不規則な生活、加工食品の摂りすぎなどで男性不妊の方が増えています。 精子の基準は精液量、精子濃度、総精子数、運動率、生存率、正常形態率などで規定されています。疾患別でみると、造精機能障害が82%、性機能障害が14%、精路通貨障害が4%、となっています。 中でも原因のわからない突発性の造精機能障害が42%と最も多く、治療に難渋する場合も多いようです。西洋医学的な治療が難しい場合は、漢方薬が役立つ場合があります。 例えば、精子頭部の空砲形成には柴胡加竜骨牡蠣湯や補中益気湯の3か月服用で有意な改善を認めたという報告もあります。また、精子の運動率の改善には八味地黄丸や牛車腎気丸が選択されています。 精力や活力が低下している場合は鹿の角や亀の甲板を配合した活力勇骨丸を用います。 バックナンバー・月経前症候群と漢方・記事がありません。・皮膚乾燥を漢方で改善 空気が乾燥する冬は呼吸器と皮膚の乾燥を訴える方が多くなります。身体の乾燥は東洋医学的には水分と血液の不足が原因と考えます。漢方薬には乾燥状態の改善が期待できる処方が多くあります。 〇呼吸器 口が乾燥する、痰が絡む、咳が出始めると止まらないといった症状には肺を潤す漢方薬が適しています。 ◇麦門冬湯 ねばっこい痰で、せき込む方に。 ◇味麦地黄丸 慢性の咳で、空咳、息切れに効果があり、口が乾き、皮膚が乾燥してつやのない方に。 ◇生脈散 呼吸器を潤す働きに優れており、胃腸が弱い方に。 〇皮膚 空気の乾燥は皮膚にも及び、毛細血管を収縮させ皮膚への栄養が届きにくくなっています。 ◇当帰飲子 乾燥による皮膚の痒みの代表処方です。粉っぽく色の白い皮膚の方に。 ◇婦人宝 貧血気味で、冷え症、めまいなど血液不足が原因で皮膚が乾燥する方に。 ◇黄連阿膠湯 乾燥と赤身がかった炎症があり、夜間や就寝中にかきむしってしまう方に。 バックナンバー・ニキビと漢方・ニキビに対する漢方・記事がありません。泌尿器記事がありません。記事がありません。バックナンバー・・・耳鼻咽喉めまいに用いる漢方薬 水分貯留や停滞を引き起こしやすい梅雨から夏場。この時期に増加する症状にめまいがあります。病的な水分貯留がめまいと関連が深いと考えられています。また、頭部への栄養不足、交感神経の高ぶり、加齢などもめまいを引き起こす可能性もあり、考慮する必要があります。ただし、脳出血や脳梗塞など危険なめまいでないことを確認する必要があります。 漢方処方 【沢瀉湯】 気圧の変化や寒暖差などで突然発症する方のファーストチョイスとして用います。 【連珠飲】 貧血気味で動悸を伴うめまいの方の処方です。めまいの症状に加えて立ちくらみを伴う場合が多いです。 【釣藤飲】 のぼせや高血圧などで頭部の興奮を伴うめまいの方の処方です。ストレス刺激に弱く、怒りっぽく、頭痛や目の充血などの症状があることも特徴です。 【滋腎通耳湯】 年配の方でのぼせやほてり、耳鳴りや難聴を伴う方の処方です。気候や温度に影響されず、発現するのが特徴です。 【半夏白朮天麻湯】 日ごろから胃腸が弱く、消化吸収力が低下している方でめまいの発現時には嘔気を伴う方の処方です。 バックナンバー・鼻の専門漢方・漢方で花粉症対策・新型コロナウイルス対策精神・神経自律神経の乱れ メンタルを崩しやすい季節と言えば、それは春でもあり、夏でもあり、冬でもあり、実際のところ、いつでもメンタルを崩す要因は溢れているという方が正しいでしょう。ただ、春は年度変わりで環境が大きく変わることから、春に心身のバランスを崩す人が多いのは確かです。気持ちが落ち込み、やる気が起こらない、睡眠障害など訴える人も少なくありません。当然、これはメンタルだけにとどまらず身体の不調として見えてきます。身体がだるい、めまい、腹痛、下痢、便秘などの症状につながります。 漢方処方 自律神経と副交感神経のバランスが崩れ、気の巡りが悪くなった症状を肝気鬱結(かんきうっけつ)と呼びます。肝気鬱結を改善する生薬に柴胡(さいこ)と芍薬(しゃくやく)があり、これに数種類の生薬を組み合わせた柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)は胸や脇、腹などに重苦しさがあり頭痛、肩や背中のこわばりがある方に向いています。精神的ストレスが胃腸に影響して食欲がなく、腹部膨満でガスが溜まりやすい方には香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)が適しています。また、考えすぎでイライラして胸苦しく不眠傾向が強い方には黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう)が適しています。 バックナンバー・不眠症に用いられる漢方薬・ストレスにおすすめの漢方・男性更年期障害眼記事がありません。記事がありません。バックナンバー・・・歯・口腔体臭・口臭の気になる方へ 汗ばむ季節になると、体のニオイが気になります。ニオイで察知できる不調や病気として、腐った肉のようなニオイは歯槽膿漏などの口腔系、肺や気管支などの呼吸系、鼻炎や蓄膿などの鼻系の関与が、腐った卵のようなニオイは消化不良によるもので胃腸系の関与が考えられます。一方、若くして加齢臭のようなニオイがする場合はストレス臭といって、ストレスで活性酸素が増加し、皮脂腺から加齢臭の原因とされるノネナールが分泌されるためです。 体臭は異常を知らせる危険信号です。たかが体臭と軽視せず、根本的な原因を取り除く必要があります。 ニオイ取り漢方 〇口腔系 甘露飲、黄連解毒湯、三七人参など 〇呼吸器系 清肺湯、竹葉石膏湯、柴朴湯など 〇鼻系 葛根湯加川芎辛夷、荊芥連翹湯、麗沢通気湯加辛夷ななど 〇胃腸系 香砂六君子湯、人参湯、安中散、平胃散、茯苓飲合半夏厚朴湯など 〇ストレス系 柴胡疎肝湯、抑肝散加陳皮半夏、帰脾湯、柴胡加竜骨牡蠣湯など なお、すべてのニオイ系に対してクマ笹は消臭効果があります。 バックナンバー・記事がありません。・・