月経前症候群と漢方
近年、月経前症候群(以下PMS)の患者数は増加傾向にあります。PMSは月経前、3~10日の黄体期の間に続く精神的あるいは身体的症状で月経の始まりとともに消失するものと定義されています。具体的には腰や下腹部の不快な痛み、むくみ,頭痛,便秘,イライラ、肌あれといった症状になります。治療には鎮痛薬やホルモン療法がありますが、漢方医学的には気と血の流れが下方に誘導されることが原因と考え、これに対応した漢方薬が有効です。
《漢方処方》
イライラ、疲れ、その他多多様な症状にはホルモンバランスを整える逍遥散(しょうようさん)が代表処方になります。冷えやむくみを伴う場合には血の流れと水分の排泄を促進させる桂皮茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を併用します。また、興奮したり気分が不安定になる人には抑肝散加陳皮半夏(よっかんさんかちんぴはんげ)を用います。PMSの症状としてよくみられるイライラは日常の出来事が誘因となって起こる感情であり、その本質には「思うようにいかない」という気持ちがあります。気持ちを切り替えることで症状も軽減されます。お気軽にご相談ください。