vol.362 ストレスに対する漢方

 春は入学や就職、転勤など新しい環境でスタートされた方も多いと思います。この時期は不安感、抑うつ感、不眠などのストレスに関連する症状が出やすくなります。検査で異常が出ませんから病気ではないと見過ごされがちです。漢方では自律神経は全身を流れる「気」というエネルギーで調節されています。この「気」の流れを整えることで不快な症状が和らぎます。

◎帰脾湯(きひとう)

 胃腸が弱く、十分な栄養が得られないために、身体だけでなく、精神も疲れてしまうタイプに用いられます。眠りが浅く、夢見が多く、動悸などの症状がある方にお勧めです。

◎抑肝散加陳皮半夏(よっかんさかちんぴはんげ)

 十分にストレスが発散できず、神経が高ぶるタイプに用いられます。登校や出勤前に腹痛や頭痛が起こる方や、精神的な緊張が強い方にお勧めです。

◎逍遥散(しょうようさん)

 イライラしやすい、落ち込み易い、悩んだり考え込んだりして食欲が落ちる、ストレスによる便秘や下痢を伴うなど、情緒が不安定になり易い方にお勧めです。

◎温胆湯(うんたんとう)

 胃腸機能が弱く、胸やけ、食欲不振など消化器症状があり、不眠や神経が高ぶるタイプに用いられます。自分に自信が持てず、日常の些細なことに決断できず、取り越し苦労が多い、思い悩んで寝つきが悪い、悪夢で目が覚める、熟睡感がない方にお勧めです。