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循環器冷え症のはなし

冷え症に対するさまざまな調査が行われていますが、女性の場合、約半数が冷え症という結果が出ています。冷えは冬の悩みと思われがちですが、年中冷えを感じている人が多いとの報告もあります。

【冷え症のデメリット】

□代謝が落ちる

体温が1℃下がると代謝が12%低下します。その結果、太り易くなります。

□めぐりが悪くなる

血流が低下すると体内のエネリギーや物質のめぐりが悪くなり、痛みなどの症状が現れやすくなります。

□月経トラブルや不妊につながりやすい

月経痛・月経不順などで排卵障害や子宮内膜の状態が悪化します。

□さまざまな症状を伴う

倦怠感・頭痛・腰痛などで生活の質の低下を招きます。

冷え症のタイプ別改善法

〇熱エネルギー不足タイプ

筋肉量や運動量が少なく胃腸が弱く、食生活が偏っています。胃腸の働きを高め、身体を温める人参、白朮、茯苓などを配合した漢方を用います。

〇血液ドロドロタイプ

血液の巡りが悪いため、全身に熱エネルギーがいきわたりません。血流を改善する当帰、川芎、紅花などを配合した漢方を用います

〇自律神経乱れタイプ

ストレスの影響で交感神経が優位になり、血管が収縮して血流が悪くなります。近年、多いタイプです。自律神経を整える柴湖、香附子、薄荷などを配合した漢方を用います。

〇水分過剰タイプ 水分の排泄が悪く、熱を冷やしています。水分代謝を改善するい沢瀉、猪苓、ハトムギなどを配合した漢方を用います。

産婦人科月経前症候群と漢方

近年、月経前症候群(以下PMS)の患者数は増加傾向にあります。PMSは月経前、3~10日の黄体期の間に続く精神的あるいは身体的症状で月経の始まりとともに消失するものと定義されています。具体的には腰や下腹部の不快な痛み、むくみ,頭痛,便秘,イライラ、肌あれといった症状になります。治療には鎮痛薬やホルモン療法がありますが、漢方医学的には気と血の流れが下方に誘導されることが原因と考え、これに対応した漢方薬が有効です。

《漢方処方》

イライラ、疲れ、その他多多様な症状にはホルモンバランスを整える逍遥散(しょうようさん)が代表処方になります。冷えやむくみを伴う場合には血の流れと水分の排泄を促進させる桂皮茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を併用します。また、興奮したり気分が不安定になる人には抑肝散加陳皮半夏(よっかんさんかちんぴはんげ)を用います。PMSの症状としてよくみられるイライラは日常の出来事が誘因となって起こる感情であり、その本質には「思うようにいかない」という気持ちがあります。気持ちを切り替えることで症状も軽減されます。お気軽にご相談ください。

精神・神経男性更年期障害

男性の主要なホルモンであるテストステロンが減少すると心身に様々な不調が現れます。ホルモンの減少は早い人では30代から始まり、主な症状は、意欲の低下、不眠、男性機能の低下、頻尿、肥満、動脈硬化などです。西洋医学ではテストステロンの定期的な注射になりますが、症状が軽ければ漢方薬やサプリメントで改善する例も多くみられます。

漢方処方

漢方では成長、発育、生殖など生命活動の原動力を提供する臓器を「腎」ととらえ、腎の機能の低下がテストステロンの低下を導き、男性更年期障害を発症すると考えます。したがって、腎の機能を高める漢方薬の服用が有効と考えます。雄の鹿の頭に生えた幼角を加工した鹿茸(ろくじょう)や幼虫に寄生し幼虫の養分を吸収して育った冬虫夏草(とうちゅうかそう)がよく使われます。食事ではスイカや冬瓜に含まれるシトルリンという成分にテストステロンを増やす働きがあります。

消化器便秘

昔から快食、快眠、快便は健康のバロメーターと言われています。しかしながら、近年、食生活の欧米化、ストレス社会、運動量の減少によって便通異常を訴える方が増加しています。いわゆる刺激性の下剤は効果は強いですが、使い続けることによって腸が刺激に慣れていまい、最終的には効かなくなります。さらに、腸内のガスの排泄が滞り、腹部膨満感という合併症が発現します。すなわち、腸の蠕動(ぜんどう)運動が自発的に起きることが根本的な体質改善につながります。

便秘のタイプ別漢方

近年の便秘は腸の冷えが原因と考えます。腸を温めることによって自発的な蠕動運動が始まります。温める性質の生薬が配合された温脾湯(おんぴとう)で冷えを改善すると腸の緊張が和ぎ、スムーズに排便できます。一方、うさぎの糞のようなコロコロ便はストレスにより腸液の分泌が低下しています。腸を潤す潤腸湯(じゅんちょうとう)が適しています。また、便が細く、途中できれたり、残便感が残る場合は自律神経のバランスが崩れています。自律神経のバランスを整える九味檳榔湯(くみびんろうとう)が適しています。

皮膚ニキビに対する漢方

新型コロナウイルス感染拡大に伴うマスク着用の習慣化により、肌荒れやニキビといった皮膚症状のご相談が増えています。その中でニキビは患部の毛穴のつまり・皮脂分泌の増加・アクネ菌の増殖により、化膿・炎症が起きる疾患です。その背景には皮膚機能の低下、ストレス、睡眠不足、生理不順などの悪化因子が挙げられます。漢方薬では症状の緩和だけでなく、ニキビの悪化因子に対して根本的に改善します。

漢方処方

◎荊防敗毒散

赤く腫れて、化膿した痛痒いニキビに適しています。食生活が不規則で油の多い食物の摂取や、洗顔がきれいにできず,毛穴のつまりが原因です。

◎荊芥連翹湯

ストレスを背景に、皮膚の代謝が乱れ、大きく黒ずんだニキビに適しています。進学や就職、職場環境の変化により悪化しやすいのが特徴です。

◎桂皮茯苓丸加薏苡仁

患部に青紫色のニキビや生理前に悪化するニキビや、ニキビ痕に対して適しています。生理不順や冷え症などの女性に多く見られます。

共通vol.363 むくみが気になる方に

 朝、腫れぼったい、夕方、靴がきつい、靴下のあとが残る、そんな症状は「むくみ」かもしれません。東洋医学で「むくみ」とは、体のあちこちで水が停滞していることと考えます。すると、汗が増える、排尿異常、急に体重が増えるなどの症状が現れます。また、舌の周りに歯の跡がつくのも特徴です。体を温めると水のめぐりが整えられ、しだいに「むくみ」が改善されます。

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◎むくみ取り漢方

 基本処方は下半身の血液循環を改善する牛膝散(ごしつさん)と滞った水分を取り除く防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)を併用します。冷えが強い時は附子(ぶし)を加え、便秘気味であれば牛膝散の代わりに通導散(つうどうさん)を用います。食生活では黒豆、マグロ、肉類で血を増やし、黒砂糖、シソやエビで体を温め、黒ゴマや海藻で腎臓の機能を高めて水分代謝を整えます。また忙しいからといって、シャワーだけで済ませるよりは、ぬるめのお湯に浸かって水圧による水の巡りを促すことも大切です。

共通vol.362 ストレスに対する漢方

 春は入学や就職、転勤など新しい環境でスタートされた方も多いと思います。この時期は不安感、抑うつ感、不眠などのストレスに関連する症状が出やすくなります。検査で異常が出ませんから病気ではないと見過ごされがちです。漢方では自律神経は全身を流れる「気」というエネルギーで調節されています。この「気」の流れを整えることで不快な症状が和らぎます。

◎帰脾湯(きひとう)

 胃腸が弱く、十分な栄養が得られないために、身体だけでなく、精神も疲れてしまうタイプに用いられます。眠りが浅く、夢見が多く、動悸などの症状がある方にお勧めです。

◎抑肝散加陳皮半夏(よっかんさかちんぴはんげ)

 十分にストレスが発散できず、神経が高ぶるタイプに用いられます。登校や出勤前に腹痛や頭痛が起こる方や、精神的な緊張が強い方にお勧めです。

◎逍遥散(しょうようさん)

 イライラしやすい、落ち込み易い、悩んだり考え込んだりして食欲が落ちる、ストレスによる便秘や下痢を伴うなど、情緒が不安定になり易い方にお勧めです。

◎温胆湯(うんたんとう)

 胃腸機能が弱く、胸やけ、食欲不振など消化器症状があり、不眠や神経が高ぶるタイプに用いられます。自分に自信が持てず、日常の些細なことに決断できず、取り越し苦労が多い、思い悩んで寝つきが悪い、悪夢で目が覚める、熟睡感がない方にお勧めです。

共通vol.361 天気と体調

 雨が降る前は頭痛がする、梅雨時になると関節痛がでる、これは気圧の変化による「気象病」と考えられます。近年は生活習慣の変化なども影響して気象病にかかる人は増えています。症状は気圧の変化が急なほど強くなります。また、気圧の変化に加えて高湿度、気温の変化が重なると悪化しやすいと言われています。これは気圧の変化がストレスとなって自律神経を刺激し、血管の収縮や痙攣、血管の周囲の神経を刺激するためです。自律神経の乱れやすい人がかかりやすい病気です。

 自律神経は全身を流れる「気」というエネルギーで調節されています。この「気」の流れを整えることで自律神経も安定し、気象病にかかりにくくなります。

【漢方処方】

 気の流れが滞ると「気滞」というトラブルが発生します。気滞は、気がうまく循環せず、停滞しており、その場所がはったり、つまったり、痛んだりします。気の巡りを整える生薬には青皮(せいひ)、香附子(こうぶし)、柷実(きじつ)、紫胡(さいこ)などが配合された紫胡疎肝散(さいこそかんさん)が適しています。頭痛や関節痛よりも胃痛やみぞおちのつかえが気になる場合は、胃腸の働きを改善する人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、縮砂(しゅくしゃ)の配合された香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)が適しています。気滞は血の流れ、水の流れにも悪化させ、むくみ、冷え、貧血などの症状を引き起こす場合もあります。この場合は気・血・水のバランスを整える芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)が適しています。

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